「プロダクトの目的別ビジネスモデルと戦い方の考え方」セミナー
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広報担当
2023/12/13


2023年12月13日(水)に鹿児島工業高等専門学校(鹿児島県霧島市)にて、スタートアップ教育整備事業
インキュベーションプログラム『SPARK』の『プロダクトの目的別ビジネスモデルと戦い方の考え方セミナー』を開催しました。

本プログラムの実施経緯や目的・展望については1つの記事に記載いたしましたので、以下のリンクをご参照ください。
SPARKプログラム始動!


また、今回のイベントではプロダクトの目的別のビジネスモデルや戦い方について学ぶことで、学生のアイデアをビジネスプランに落とし込み、今後の行動計画作成のイメージを掴んでいただくために、ゲストの方にお話しいただきました。


日時:2023年12月13日(水)16:45~18:15

場所:鹿児島工業高等専門学校 情報工学科棟1F 合併教室

ゲスト:ベータ・ベンチャーキャピタル株式会社 (旧:株式会社ドーガン・ベータ) 赤瀬 太郎(あかせ たろう)氏

参加人数:8名


まず赤瀬氏から株式会社ドーガン・ベータ や自身についての紹介がありました。 大学に入ってからスタートアップやビジネスに興味を持ち、自分で起業したり支援をするようになったと話されました。

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ビジネスモデルとは

続いてビジネスモデルの説明に入り、基本的に次の画像にある3つを網羅している必要があると話されました。
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成り立つビジネスとは?

ビジネスは大前提として永続的なものでないと成り立たないため、売上がコストよりも大きくないといけないことを話されました。
例えば、カフェなどは売上が想定しやすいが、スタートアップがトライするような誰も介入していない分野にあたるイノベーティブなビジネスは売上の想定を立てることが難しいと話されました。

また売上とは価値や期待値を感じたものに支払われる対価であると説明されました。例として、映画への期待値を感じてチケット代を払う、落としても割れなさそうなスマートフォンケースなど、価値も様々であるとのことでした。
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今回の参加者のビジネスは課題からスタートしているためわかりやすく、課題の大きさが価値の大きさになると述べられました。その例として、「昼ご飯を1人で毎日食べていて寂しい」という課題に対し、「①マッチングアプリを作成す②友達探しを代行する③自分が一緒に行く」など方法は全く違うが、課題の大きさが一緒であれば、価値や支払われるお金は対して変わらないためそもそもどんな課題を選ぶかによって対価が決まると説明されました。

続いて対価についての説明を下記のように図を用いて行い、課題とソリューションが重なった分が課題解決による価値となり、重なった部分が大きいほど大きな売上となると話されました。

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これに反し、課題が小さいとどんなに良いソリューションでも売上はあまり生まれないと、市場を知ることの重要性についてわかりやすく説明されました。

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良い市場に悪いプロダクトを選んでしまった場合はプロダクトが良くなる可能性があるため改善の見込みはあるが、悪い市場を選んでしまうとどんなに良いプロダクトでも伸びないため、良い市場を見極めることが大切であると話されました。

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そのため「まずはお金を払ってくれる人がいるかどうか」ということから考えていくことが良いと話されました。

良い市場とは?

次に、市場の良さをどのように考えると良いか説明されました。
まず、あなたにとっての「良い市場」とはなにか、という問いかけから始まり、「良い市場」の「良い」は人によってそれぞれの目的や考え方が変わってくるからこそ自身の目的や考え方にあった規模と時間軸が重要であると話されました。

その理由として、規模を大きくするほど難易度が上がり、時間がかかるため、規模の大小で向き不向きが決まることが挙げられました。

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上のスライドをもとに更に説明を加え、小規模のビジネスからスタートすると売る対象が周りの人であり手渡しで売れていたものが、規模が大きくなるに連れ、手渡しで売れなくなったり、売る対象が知らない人になったり、競合企業が出てきたり、一人で賄えない分従業員が増やさないといけないかもしれないと規模が大きくなると何度も変化するため、戦い方として初期と全然違うものになることを説明されました。
続いて、本題として今あるアイデアはどのような市場で挑戦するのかを実践ワークで考えてもらうため、ワークの軸となるポテンシャルについてを船に例えて説明されました。

その1:ポテンシャルについて
ポテンシャルは売上がどのくらい上がるかを指し、ポテンシャルのある市場にて事業を行うことが特にスタートアップにおいては必須だと言うことと、市場も現在と将来の2面で考える必要があると話されました。
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  1. 船の数=売上がどのくらい多いか?
    船が多いほど顧客が多いことを意味する
    客になり得る会社や人がどのくらいいるのか、今成長している領域かを考える必要がある(少子化だと市場が減っている、eスポーツだと増えている)
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  2. 船の大きさ=お金の多さ
    ・顧客がどのくらいお金を払ってくれるのか
    ・払ってくれるお金が多くなりやすい特徴
    緊急性、経済合理性、
    不快な気持ちをなくす
    (汚れる仕事をロボットがやってくれるなど)
    頻度が多いなど
    ・将来的に船が大きくなるか
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  3. 船の往復=リピート率
    ・顧客が何回も購入、継続利用してくれる
    ・なくなったら困るサービス
    ・1年のウチ何回も需要があるか
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    これらを踏まえ年間の売上・市場規模が考えられると説明されました。

また、全てに当てはまるわけではないが、スタートアップでは年間売上100億円が1つの目安であることも話されました。

その2:チャレンジ(課題点)についてポテンシャルがある市場は全員にとって魅力的であるため、どんな障害や課題があるかをできるだけ多くリストアップし、それらがどのくらいの難易度なのかを考えることが『その市場がどれほどチャレンジングなのか』を判断する重要な情報になると説明されました。
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その後、学生は自分のプロダクトの成長可能性や挑戦性がどの程度あるか考える市場選定ワークに取り掛かりました。

そして各々が自分のプロダクトの市場における特徴を把握し、場合によってはアイデアを見直すべきではと話されました。また、リサーチを続けていくことで新しい発見があることや将来的な展望により場所は変わり得ることも説明されました。

収益モデルについて

価値と市場について説明が終わり、収益モデルについて説明されました。
主に8パターンであると話され、それぞれについて詳しく説明されました。
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※労働の対価:働いた分もらうこと(コンサルティング等)
 消費コンテンツ:ディズニー、映画など入場時にはらうもの
 使用料金:駐車場などの場所を使うビジネス
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そしてこれらのビジネスモデルは『上場企業の例』が参考』になっており、ネット上で「〇〇社 決算説明会資料」と調べてみると参考となる資料が見つかるので是非見てみてほしいと話されました。これらはスライドでスライドで見やすく、別で「有価証券報告書」という文字のみの詳細で難易度の高い文書もあると話されました。

リーンキャンバスで考える

そして講演内容を元にして、実際にビジネスモデルを考える際に使用されるフレームワークのリーンキャンバスを作成するワークに移りました。また、ワーク開始時に、赤瀬氏から「リーンキャンバスにメモを残しておくと大体のことは網羅できる」と共有がありました。

ワーク中は、赤瀬氏とSPARK運営メンバーが各チームを周りながら、学生のリーンキャンバス作成やブラッシュアップのサポートを行いました。

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ソリューション:ビジネスの概要
セグメント:どんな顧客か 船の部分
チャネル:接点(知ってもらうためにどんな広告だす・お店出すなど)
コスト構造:どんなコストがかかりそうか
収益の流れ:収益モデル①〜⑤の説明のもの

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まとめ

今回は『価値検証、課題検証』『市場選定』『収益モデル』などのビシネスプランの各要素をリーン・キャンバスに落とし込んでいきました。また、ヒアリングを行ってみると新しい情報がまた得られるため、予想とかなり変わってくるということや、アイデアは行き来するものだと説明され、今後のプレゼンにも本日説明したことを組み込んで考えてもらえたらと講義を終了しました。

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今回の講演やワークを通して、学生はこれまで深く考えてこなかったそもそもビジネスとして成立するのか?という根本的な部分を考える機会になりました。今回のワークで記載した内容をよりブラッシュアップしていきます!