2023年11月15日(水)に鹿児島工業高等専門学校(鹿児島県霧島市)にて、スタートアップ教育整備事業 インキュベーションプログラム『SPARK』の『高専卒がスタートアップへ転職してきて思うこと』と題してセミナーを開催しました。
本プログラムの実施経緯や目的・展望については1つの記事に記載いたしましたので、以下のリンクをご参照ください。
SPARKプログラム始動!
また、今回のイベントでは大企業からスタートアップ企業へ転職された高専の先輩からそれぞれ経験された上で考えられたことや、就職後に役立った高専で学んだ知識・技術などに関してゲストにお話いただきました。
日時:2023年11月15日(水)16:45~18:15
場所:鹿児島工業高等専門学校 情報工学科棟 1F 合併教室
ゲスト:株式会社クアンド スクラムマスター 新家 遼士(しんや りょうじ) 氏
参加人数:5名
最初にゲストの新家さんの自己紹介からスタートしました。新家さんが北九州高専出身であることや趣味・社会人9年目であることなどから始まり、卒業後『富士通株式会社』へ入社し2019年から現在の『株式会社クアンド』へ転職された経歴を話されました。
また、スクラムマスターとはスクラム開発を円滑に回すための役割であることや、会社の概要として『SynQRemote』というサービスで地域産業・レガシー産業のアップデートとしてテクノロジーの力を発揮していることを説明されました。
スタートアップ企業とは、ベンチャー企業の中に位置し、その中で新たな市場を開拓し短期間で価値を飛躍的に高める企業のことを指すことを説明されました。
続いて、スタートアップと大企業との違いとしてそれぞれに所属するメリット・デメリットから説明されました。
その中で大企業に務められていた際は、研修にあまり良い印象を抱いていなかったが、就業時間内で受けられることや入社時よりTOEICの点数が伸びたエピソードを話されました。新家さん自身が「成長は決定の連続だ」と考えられていることから、決定の機会、つまり裁量権があることはスタートアップのメリットであるという考えも述べられました
これらを踏まえ、新卒で富士通株式会社を選ばれた理由として下記3つを挙げられました。
・経験できる業務が広いと入社時思っていたから
・会社内の業種の多さ
・大企業への憧れ
大企業に勤めている先輩から聞いた、サービスをお客様へ提供するまで一連の経験ができるという話や、転職しなくとも社内の異動をすることで様々な仕事を経験できること、親戚の集まりで話せることへの憧れなどから「20歳のときは軽い気持ちで会社を選んだ気がする」と当時を振り返りながら話されました。
上記を理由に大企業へと勤められた中で、転職を決めたきっかけとして
・希望職種と違った
・裁量権を持ちたいと思った
・成長できる絵が見えなかった
という3点を話されました。
勤められていた会社は働きやすい環境ではあったが、このままここに居ても良いのかと疑問を抱いており、3つのきっかけを複合的に考え転職に至ったそうです。
高専卒という経歴・経験が1番大きく影響したこととして、まず「①社会に出る年齢が若いこと」が挙げられました。高専を卒業し20歳で就職をしたため、転職活動時の23歳という年齢は既に3年半働いた経験があったことや周りは院卒の方が多かったことから周りに比べ経験値の高さや若さから有利であった旨のエピソードも話されました。
次に、「②なんとなくわかる範囲が広いこと」を挙げられました。高専では1年生から様々な専門教科があり基礎を学んでいるため、モノづくりに関することであればどんな業務でも理解度が高いことを話されました。今でも加工の工場に行った際に、どんな技術や苦労があるかを自身が学生時代の経験から理解することができると説明されました。
最後に「③チャレンジへの抵抗がないこと」を挙げられました。卒業した学科が「広く浅く」という方針だったため専門分野がない分、新しい分野への挑戦が抵抗なくできたとのことです。
次に新家さん自身がスタートアップ企業で働いてみて苦労されたこととして、下記3つが挙げられました。
・英語力が絶望的に低い
・環境変化への順応に苦戦する
・価値観が近い人との経験が多いため、それ以外の人とのコミュニケーションが苦手
普通の高校とカリキュラムが違う分、英語の授業数が少ないことや、5年間同じクラスで進級していくため人が変わらず価値観が近い人と過ごしてきたため、新しい環境や社会の中でコミュニケーションミスや意図せず不快にさせてしまうことがあったと話されました。
前述の『#スタートアップにて高専卒が活きたこと』にあるように高専生は年齢的に若いことや、ものを作ることに特化しているので作れることは非常にメリット。作るという判断に至らなくても作るまでの道筋が算段できることも高専生ならではなので、スタートアップを志す方が増えたらと思いを述べられました。
その後の交流会でも、起業したいという学生が5名中4名と予想より多くの手が上がり、
学生には今回のお話をぜひ、進路選択の際に役立てていただきたいと思います。