2023年10月9日から10月30日にかけ鹿児島工業高等専門学校(鹿児島県霧島市)にて、スタートアップ教育整備事業 インキュベーションプログラム『SPARK』の『クリエイティブアイデア講座』(以下『講座』)を開催しました。
本プログラムの実施経緯や目的・展望については1つの記事に記載いたしましたので、以下のリンクをご参照ください。
SPARKプログラム始動!
今回のイベントは最終日に行われるプレゼンに向けて、計3回の講座で「実際に使ってもらえる製品やサービス」を生み出すことを目的に、DAY1でアイデアを創出・DAY2・3でブラッシュアップ・DAY4で発表という流れで開催されました。
日時:2023年10月9日 (月・祝) 13:00〜18:00
場所:鹿児島工業高等専門学校 大講義室
ゲスト:合同会社ironowa 髙橋 空雅 (たかはし くうが) 氏
渡辺 貴大 (わたなべ たかひろ)氏
参加人数:13名
①まずはアイスブレイク「こじつけビジネスアイデア」!
まず開催にあたり、参加者に向けてSPARK運営代表の村上(むらかみ)より本プログラムについての概要を簡潔に説明。その後「クリエイティブアイデア講座」の説明に入り、この講座ではスタートアップの3年分の経験を約1ヶ月間・計4回の講座にて体験することや、この講座を経て「普通の学生から起業家への第一歩を踏み出して欲しい」という思いを伝えました。
そして、アイスブレイクとして参加者は「自分を表すキーワード」を考え、その場で共有できる投稿ツールを使用して共有していきました。
「サッカー」「メガネ」「楽天的」「優柔不断」などさまざまなキーワードが集まったところで、
「いま出たキーワードの中からチームで2つ選び、ビジネスアイデアをでっちあげてください」
と村上よりワークの指示が出されました。
テーブルごとでチームを作り、かぶらないように全チームがキーワードを選びきったところから話し合いがスタート。
各チームは模造紙・コピー用紙・付箋を使い、①会社名②会社ロゴ③ビジネスアイデアを考え、発表例を元に実際にスタートアップ企業が行うアイデアピッチの時間と同様の1分という時間制限の中で発表しました。
②自分の体験からアイデアを出してみる
続いて、今回の特別ゲストである合同会社ironowaの髙橋 空雅さんと渡辺 貴大さんによるアイデア創出ワークに移りました。
参加者には、事前に宿題として共有していた『楽しかったこと』『悲しかったこと』といった人生分析や、『印象に残っている出来事』といった今までの経験・出来事を振り返るワークシートを活用し、自分の経験から考えたアイデアを1人1分ずつ発表するよう指示が出されました。
③今後取り組んでいくアイデアを選ぶ!
発表準備の時間に入り、発表原稿を作成する者や、A4コピー用紙に製品の図を描くといった工夫する姿がみられました。
発表中は冒頭のアイスブレイクで使用した投稿ツールにて、他参加者に質問や感想を共有してもらい、発表者は1分間でその質問に回答していきました。
各参加者の発表が終わり、1人3票まで「自分が実際にやりたい」と思ったアイデアへ各々投票を行い、人気のあったアイデア上位5つが抽出されました。
このタイミングで、運営代表の村上から参加者へ
「選ばれた5つのアイデアを発表した参加者のチームに所属するか、各々のアイデアで取り組むかを選んでください。そのために、気になるアイデアがあればその発表者に話を聞きに行ってください。また、欲しいメンバーがいればスカウトしてください。」
とアナウンスされました。
その後、参加者は各自気になるアイデアの発表者に対して、掘り下げる質問や確認などを実施しました。並行して、各チームごとにアイデア実現に向けて必要な人材を確保する時間が設けられました。
④いよいよ活動開始!
チームビルディングがされた後、各チームで改めてアイデアの共有やブラッシュアップの案が話し合われ、10月30日の発表に向け各チームでアイデアの実現に向け、活動をスタートしました。
日時:2023年10月11日 (木) 16:45〜18:15
場所:鹿児島工業高等専門学校 情報工学科棟 1F 合併教室
ゲスト:合同会社ironowa 青木 健太朗 (あおき けんたろう)氏
渡瀬 遥子 (わたせ ようこ) 氏
参加者人数:14名
アイデアをプロの視点からブラッシュアップ!
本講座2回目は、初回で出たアイデアを各チームごとにブラッシュアップすることを目的として開催されました。
冒頭に、運営代表の村上から
「今日までにチーム名を決めて、アイデアの概要と共に最後に発表してもらいます。」
とのアナウンスがあり、それぞれチーム名を決めるところからスタートしました。
また、今回からの新規参加者もいたため、各チームがどんなアイデアについてどのように活動を進めているかの発表を行い、その発表を受けて新たに既存のチームに参加する者もいれば、「せっかくなら自分たちのアイデアで参加したい」と初回で実施したワークから取り組む者もいました。
各チームの活動にゲストの青木さんと活動見学にきてくださった合同会社ironowa代表の渡瀬さんに入っていただき、ブラッシュアップのアドバイスをいただきました。すでにアイデアから具体的なサービスに昇華できているチームも見受けられました。
今回出た各チームのチーム名とアイデアは以下の通りです。
チーム名 | アイデア概要 |
---|---|
時友店 | サプライズ代行サービス |
チームこだま | ゲーム性のあるサービス |
自動運転のささくら | 人と物を運ぶバス型の自動運転モビリティ✖️移動店舗 |
fleny | クリエイターに発注ができるマーケットプレイス |
体感温度 | 居住地の体感温度から最適な服装を提案してくれるサービス |
チームいわした | 保育や介護の現場の業務効率化と事故の防止サービス |
East Staff | 今食べたいものから、店舗や食材の販売店をレコメンドするサービス |
日時:2023年10月15日 (月) 13:00〜18:00
場所:鹿児島工業高等専門学校 情報工学科棟 1F 合併教室
ゲスト:GMOペパボ株式会社 吉本 康貴 (よしもと こうき) 氏
合同会社ironowa 髙橋 空雅 氏
大保 拓弥 氏
参加者人数:6名
フィードバックをいただき、さらに磨きをかけていく!
本講座3回目では、アイデアについて中間発表を行い、実現に向け何が足りていないかをフィードバックをしていただくことを目的として開催しました。
今回は冒頭から各チームでの活動を開始し、中盤で発表を行い、それを踏まえて更なるブラッシュアップを行いました。また、今回は合同会社ironowaのお2人に加え、ゲストとして新たにGMOペパボ株式会社でエンジニア兼新規事業開発をされている吉本さんをお迎えし、プロダクト開発や新規事業立ち上げのご経験をもとにフィードバックやアドバイスをしていただきました。
今回の各チームの発表内容は以下の通りです。
チーム名 | アイデア概要 |
---|---|
East Staff | 食材ベースで選択肢を示すことができるサービス |
チームこだま | 花札とトレーディングカードを組み合わせた、対面でワイワイ楽しめる新しいゲームを作りたい。 |
fleny | クリエイターに発注ができるマーケットプレイス→コワーキングスペースのアイデアへ転換中 |
体感温度→Feel Fit | 10〜30代の女性をターゲットに、体感温度とコーディネートを提案するサービスをLINE Bot上で構築する。 |
バブル | 活用されていない建築後の図面を活用し、リアルな世界をオンラインゲームであるフォートナイト上で構築するサービス |
日時:2023年10月30日(月) 16:45〜18:15
場所:鹿児島工業高等専門学校 情報工学科棟 1F 合併教室
ゲスト:合同会社ironowa 髙橋 空雅 氏
大保 拓弥 氏
参加者人数:12名
約1ヶ月で磨き上げたアイデアをついに発表!
本講座4回目は、1〜3回目の講義を通して創出し磨き上げてきたアイデアについてプレゼンテーション形式で発表することを目的として開催しました。
1チーム3分間の発表する時間が与えられ、発表ごとにゲスト2名と運営の村上によるフィードバックをいただくという流れで全チームの発表が行われました。また、ゲストの大保氏より参加者が考えを整理できるよう、発表内容を絵や図形などのグラフィックを用いてリアルタイムにまとめる手法であるグラフィックレコーディングにてまとめていただきました。
フィードバックにより磨かれた発表の内容は以下のとおりです。
チーム名 | アイデア概要 |
---|---|
チームこだま→Japan Family Games | アイデア:日本の伝統的なカードゲームである花札を元にした対面型ゲーム |
時友店 | サービス:時間がないが親孝行やサプライズをしたい人のための考案代行サービス |
チーム津曲 | サービス:スケルトンの商品販売。 |
チーム中垣内 | アイデア:マップアプリよりも分かりやすい、指差しカーナビロボ |
チーム岩下 | サービス:保育施設DX課題:体温変化が激しく、非接触で定期的に測るのでは追いつかないことや保護者の多様化 |
fleny | サービス:学生がアクティブに活動できるフリースペースの提供サービス |
自動運転ささくら | サービス:過疎地域などにおける交通手段としての移動販売を兼ねた自動運転バスと配車サービス |
EatStaff | サービス:何を食べるかを提案する課題:何を食べたいか決まらない、場所探しによる時間ロス |
FeelFit | サービス:その日の体感温度とそれにあったファッションの組み合わせをレコメンドしてくれるサービス |
参加者の声とまとめ
・最初はノリでクラスメイトと参加したがアイデア出しやピッチの仕方など普段の授業では 学べないことを学べたし、学科や学年の違う先輩と関わることができた。
(電子制御工学科 1年)
・最初は全く違うアイデアを考えていたが、他の意見を良いなと思って取り入れているうち に違う方向に進んでいった。今回生まれたアイデアも考えていて楽しいので元のアイデア と並走して2月の実現に取り組みたい。(機械工学科 1年)
・元々実現したいアイデアがあったが、今回の趣旨がアイデアの創出だったので別で0から 考えアイデアを磨いてきたため、2月までのプログラムとしてはまた別のアイデアに取り 組み、今回のアイデアは将来的に取り組みたいと思う。(電子制御工学科 2年)
・起業に興味がありいつかしてみたいと思っていたが、ゲストからのフィードバックを頂い て納得の行く方向でブラッシュアップできたため想像以上に内容はよかった。
(機械工学科 4年)
参加者からは上記のような意見や感想が上がり、1年生は入学して半年経ちこれから技術やアイデアを身に着けたいという考えが多く、2〜4年生は元からあるアイデアの実現やなにか面白いことをしたいと言う考えをもつ傾向が見られました。また、2月に向け前向きに取り組む意見が多く非常に今後も楽しみです。
次回より仮説検証とアイデア実現に向け、MVP開発プログラムに移ります!